インターンシップは大学生にとって一大イベント。就職活動の一環として多くの学生が興味を持っています。インターンシップを経験すれば、就職活動で役立つことはもちろん、入社後に同期社員のなかでいち早く活躍できるかもしれません。
そこで気になるのがインターンの開始時期。基本的にインターンは年中開催されているので、いつから開始するのが自分にとってベストか悩ましい問題です。現在は大学3年生の夏頃からスタートするのが主流ですが、1年生や2年生、あるいは4年生から始める人もいます。
今回は1年生から4年生まで、それぞれの年でインターンシップを始めるメリット・デメリットを比較解説します。インターンシップのチャンスを最大限に活かしたいと考える人は、ぜひ参考にしてください。
大学1・2年生でインターンシップに参加するメリット
大学1・2年生でもインターンシップへの参加は可能です。3年生ほど一般的ではないので、家族や周囲から「まだは早い」「学業に専念すべき」と言われる可能性もありますが、早くにインターンシップを経験することには以下の3つのメリットがあります。
- 周りに差をつけられる
- 将来について余裕をもって考えられる
- 大学以外の人脈が広がる
それぞれ詳しく解説します。
・周りに差をつけられる
1・2年生のあいだにインターンシップを経験すれば、周囲に差をつけることができます。現在は1・2年生からインターンシップに参加する人は多くないため、経験しているだけでも同年代のなかで際立った意欲の高さをアピールできるでしょう。
就職活動の書類選考や面接では、他の学生よりも優れたアピールポイントを持っているほうが有利です。1年生のうちから、志望先企業と同じ業種の企業で就労経験を積んでいれば十分な強みになります。
さらに2023年度から採用直結型のインターンシップが公的に認められたこともあり、今後は就職活動の早期化が加速する見方もあります。1・2年生でのインターンシップへの参加は、志望先企業と関係性を作るなど、周りに先駆けて就職活動を始めることにもつながるでしょう。
・将来について余裕を持って考えられる
早くにインターンシップを始めれば、卒業後の将来をじっくり考えられます。さまざまな業界や企業での仕事を実際に経験し、最終的に納得できる企業を選べるでしょう。
インターンシップで実際の仕事を経験すると「憧れていた働き方とは違った」と気づくことがあります。しかし大学3年生で初めてインターンシップに参加した場合は、そこから新しい志望先を探すための十分な時間がありません。結果的に自分が本当に入社したいと思える企業が見つからないまま、就職活動を終えなくてはならない可能性があります。
新卒での就職活動のチャンスは人生に一度きりです。1・2年生から実際に職場を体験しながら十分に時間をかけて探すほうが、満足できる就職活動になる可能性は高いでしょう。
・大学以外の人脈が広がる
インターンシップは大学外の人脈を広げるチャンスです。就職活動を有利に進めたい学生はもちろん、将来的には起業したいと考える学生にとっても有益でしょう。
インターンシップのように学生のうちから多様な業界・企業に出入りして多くの人と知り合えるチャンスは他にありません。さらに大抵の企業は社員の人たちがインターンシップの学生に寛容で、知りたいことなどがあれば時間を割いて教えてくれます。小規模の企業の場合は、社長自身が学生と直接交流するケースも。
さらに同じインターンシップの学生仲間の絆も大切です。同じ業界や職種を志望する者同士、就職活動の情報交換や、社会に出てからも助け合える場面があるかもしれません。3年生以降のインターンシップでは嫌でも選考を意識せざるを得ないので、心にゆとりのある1・2年生のほうが人との交流を楽しめるでしょう。
大学1・2年生でインターンシップに参加するデメリット
大学1・2年生でのインターンシップの参加は就職活動でも大きな武器となりますが、一方で以下のデメリットもあります。
- 学業との両立が難しいケースも
- アルバイトよりも採用難易度は高い
気軽な気持ちでインターンシップを始めてしまうと「こんな予定じゃなかった」となりかねません。注意すべき点を理解し、慎重に計画を立てましょう。
・学業との両立が難しいケースも
1・2年生のうちからインターンシップに多くの時間を割くと、メインの学業が疎かになる可能性があります。せっかくインターンシップを経験してアピールポイントが得られても、留年の経歴がつくとそれも相殺されてしまうかもしれません。
インターンシップに取り組むには、慎重なスケジュール管理が大切です。3日以内の短期のインターンシップであれば気軽に予定を入れられますが、長期のインターンシップの場合は試験やレポート提出、部活動の予定などを確認して無理のない設定にしましょう。
大学生活は就職活動のためだけのものではありません。学業や部活動、アルバイト、そして同年代の友人たちとの交流を通して多様な経験をする場です。将来を見据えて早くにインターンシップに取り組む姿勢は企業も評価してくれますが、面接の場でアピールできるように他の経験や実績を積むことも視野に入れてみましょう。
・アルバイトよりも採用難易度は高い
インターンシップにも多くの場合は選考があります。就職活動の本番ではないので気軽な気持ちで取り組む学生もいますが、インターンシップの採用難易度はアルバイトよりも高めです。
さらに採用直結型のインターンシップが公的に認められたことにより、今後はさらにインターンシップを希望する学生が増えると予想できます。企業側も選考の一環として、限られたインターンシップの枠をできる限り優秀な学生に与えたいと考えるでしょう。
1・2年生対象のインターンシップでも、就職活動の予行練習のつもりで入念な準備をして応募しましょう。履歴書の書き方や面接対策なども必要です。特に「なぜその企業のインターンシップを希望したのか」という志望理由をしっかりまとめておきましょう。
大学3年生でインターンシップに参加するメリット
ここまで1・2年生でインターンシップに参加するケースを見てきて「大学3年生で始めるのは遅いんじゃないか」と思った人もいるかもしれません。しかし、大学3年生からのスタートには以下のメリットがあります
- 明確な目的をもって選べる
- 早期選考を受けられる可能性がある
- 選考や自己PRに使えるネタが多い
それぞれ詳しく解説します。
・明確な目的を持って選べる
3年生になると就職活動が本格化し、多くの学生が業界研究や自己分析をしています。企業もそれに基づき、就職活動における明確な目的を持って選べるようになるでしょう。
1・2年生のうちは将来のビジョンが定まっていない場合も多く、何となく興味を惹かれた業界や企業をインターンシップ先に選ぶことがあります。対する3年生は卒業まで2年を切り、どのようなキャリアを築いていきたいか具体的なイメージが固まってくる時期です。
結果的にインターンシップ先も、自身の望むキャリアプランに沿った業界や企業を志望するようになります。インターンシップの選考でも、自身の将来像と一貫した志望動機を答えられるため、採用担当者を納得させやすいでしょう。
・早期選考を受けられる可能性がある
3年生対象のインターンシップの魅力は、採用に直結する可能性があることです。特に、インターンシップに参加した学生だけが受けられる早期選考は大きなチャンスになります。
現在は、インターンシップも選考の一環として公的に認められるようになりました。通常の選考だけ受けるより、インターンシップ参加者だけを対象にした早期選考の枠も確保したほうが、当然ながら就職活動の成功率は高くなります。
少子化の現在、優秀な学生を競合他社より多く獲得するのは企業の大きな課題の一つです。企業側にもインターンシップで良いパフォーマンスを見せた学生を、早く囲い込みたい思惑があります。早期選考に意欲的な企業は多いので、3年生のインターンシップは積極的に参加すべきでしょう。
・選考や自己PRに使えるネタが多い
大学3年生になると、すでに学生生活のなかで多様な経験をしています。研究や部活動、アルバイトなどで学んだことは、インターンシップの選考でも大きなアピールポイントになるでしょう。
3年生で初めてインターンシップに参加するということは、それまで学生の本分である学業に専念していたともいえます。あるいはアルバイトで厳しい社会経験を積んでいたり、部活動でチームワークを学んでいたりなど、面接官に評価してもらえる学生生活の実績があるはずです。
3年生はインターンシップの活動が盛んな時期であり、面接官は毎日多くの学生の話を聞いています。そのなかでもユニークな経験をしている学生は目に留まりやすいので、学生生活での実績や学んだことの棚卸しをし、自己PRを入念に練り上げましょう。
大学3年生でインターンシップに参加するデメリット
多くの大学生が、3年生からインターンシップ参加に向けて動き出します。それ故に3年生からのスタートには1つの大きなデメリットがあるのです。
・競争率が高い
大学3年生は多くの学生がインターンシップに乗り出す時期です。そのため他の学年に比べて競争率が高く、希望している企業の選考に通らない可能性が高くなります。
特に採用直結型のインターンシップが公認されたことで、企業側も学生側もインターンシップに取り組む熱意が上がっています。多くの学生が内定を獲得するためにインターンシップに臨み、企業側は少しでも優秀な学生と接点を持つために厳しい目で選考をします。もはやインターンシップは選考の前段階ではなく、選考そのものになったといえるかもしれません。
そのためインターンシップから早期選考へと進むルートを狙っていたとしても、そもそもインターンシップに参加できない可能性もあります。高い競争率を勝ち抜くためには、本番と同じ選考対策が求められるでしょう。
大学4年生でインターンシップに参加するメリット
大学4年生でのインターンシップは、すでに内定をもらった企業でアルバイトを兼ねた入社前研修のような形で働くのが一般的です。また、就職活動の終わっていない学生であっても、インターンシップに参加する意味はあります。
大学4年生からのインターンシップ参加には、以下のメリットが考えられます。
- 時間に余裕がある
- 入社後に差をつけられる
- 何もしていない学生よりも就活で有利
それぞれ詳しく解説します。
・時間に余裕がある
3年生まで真面目に学業に取り組んでいた学生にとって、4年生は必要単位もある程度揃っていて時間に余裕があります。インターンシップに集中するには理想的な時期でしょう。
3年生までのインターンシップで大きなハードルとなるのが、スケジュール管理の大変さです。せっかく参加のチャンスが得られても、学業や部活動との両立で苦労し十分なパフォーマンスを発揮できない場合があります。一方、4年生であればインターンシップに精力を傾けられるので、企業側からの評価も高くなるでしょう。
もちろん4年生には卒業論文などの重要な課題もあります。せっかくインターンシップにまで参加したのに、卒業できずに留年になってしまうことがないよう、最後まで気を抜かないようにしましょう。
・入社後に差をつけられる
内定先の企業でのインターンシップ参加も大きなメリットです。入社前から実際に業務に触れて多くを学ぶことができ、入社後は同期のなかでいち早く活躍できるようになります。
またインターンシップで先輩や上司と交流しておくことで、入社後も円滑な人間関係のなかで働くことができます。通常の新入社員は仕事を覚えるのと同時に人間関係を一から構築する努力も必要ですが、インターンシップを経験すれば仕事に集中できるでしょう。
業務でも人間関係でも入社前から下地ができている状態でスタートできるので、自信を持って働けます。
・何もしていない学生よりも就活で有利
就活そのものを4年生から始める学生も多くいます。同じ4年生からのスタートであれば、積極的なインターンシップへの参加で意欲がアピールできて、就職活動を有利に進められます。
4年生から就職活動を始める学生は、元々は他の進路を検討していたケースも多いでしょう。業界研究や自己分析が十分でない学生も多いので、インターンシップで実際の仕事の経験を積めば同年代のなかで差別化ができます。
4年生からのインターンシップ参加でも十分に就職活動の強みとなるので参加を検討してみましょう。
大学4年生でインターンシップに参加するデメリット
大学生活最後の1年である4年生は、就職活動やインターンシップ以外にも何かと忙しい時期です。4年生になってからインターンシップへの参加を考えている人は、以下の2つのデメリットを理解しておきましょう。
- 卒業論文や研究との両立が大変
- 最後の大学生活を楽しむ時間が減る可能性
それぞれ詳しく解説します。
・卒業論文や研究との両立が大変
4年生には卒業論文や研究などの重要なイベントがあります。これらは卒業に関わってくるので、インターンシップのためとはいえ疎かにできません。4年生でインターンシップに参加するなら、卒業論文の取り組みと両立できるようスケジュール管理が大切です。
3年生までのインターンシップと比較して、4年生対象のインターンシップは長期になる傾向があります。何度も企業に足を運んでもらうことで、入社後スムーズに企業の風土に馴染んでもらいたいという企業の意図があるのですが、卒業論文や研究が行き詰っているときには負担が大きいのも事実です。
学生は内定先企業の意に沿おうと無理をしがちですが、まずは確実に卒業することが大切なので、卒業論文や研究の予定を優先しつつスケジュールを組みましょう。
・最後の大学生活を楽しむ時間が減る可能性
4年生対象のインターンシップは、内定者の事前研修の場合が多いため拘束時間が長くなるのがデメリットです。4年生は卒業論文や研究だけでなく、卒業前に友人たちとの思い出づくりの時期でもあります。毎週インターンシップで出社しなくてはならないなどの事情があると、卒業旅行の予定も立てにくくなるでしょう。
周囲の友人たちが最後の学生生活を満喫しているなか、仕事ばかりしているとモチベーションが下がってしまうかもしれません。長期インターンシップの場合は他の人と同じくらい遊びの時間を確保するのは難しいですが、限られた時間でも楽しめるように計画を立てましょう。
インターンシップでよくある質問
インターンシップを意識するようになると、さまざまな疑問が浮かんできます。インターンシップは多くの学生にとって就職活動の鍵ともいえるもの。選択ミスや準備不足で後悔したくないのは当然のことです。
ここではインターンシップでよくある3つの質問と、それに対する回答を紹介します。
・インターンシップ参加は採用に有利なのか
インターンシップが採用に影響するかは、企業によって異なります。
インターンシップと選考がまったく無関係とする企業もあれば、インターンシップ参加者を対象にした早期選考を設けている企業もあります。インターンシップで良いパフォーマンスを見せた学生は選考でそれを加味されるケースもあるでしょう。
現状ではインターンシップが選考に影響すると公表している企業は少数です。しかし、2023年度から採用直結型インターンシップが認められたことで、今後はインターンシップ参加が選考に影響する企業の割合は増えるかもしれません。志望企業のインターンシップに関しては、選考のなかでどのような位置づけとなるのかよく調べておきましょう。
・長期インターンと短期インターンはどちらにすべきか
インターンシップには1日~2週間程度で終わるような短期インターンと、1年近くかかることもある長期インターンの2種類があります。
短期インターンは就職活動期間中の限られた時間のなかでも、複数の企業を知れるのが魅力です。ただしセミナー形式で担当者から説明を受けるだけなど、企業説明会とほとんど変わらない表面的な内容になりがちです。一方の長期インターンは、参加できる企業の数は1社か2社程度ですが、社員と同じ業務に従事できるため、スキルアップが期待できます。また実際の職場に身を置くことで、リアルな社風を知ることができるでしょう。
長期と短期、どちらのインターンシップにもメリットがあります。まだ志望する業界や企業が定まっていない場合は短期で回数を重ねる、早く志望する業界でスキルを身に付けたい場合は長期など、状況に合わせて選択しましょう。
・スキルがなくても問題ないか
インターンシップとはいえ実際に業務にあたる場合、スキルがないことを不安に思う人は多いでしょう。しかし、ほとんどの企業はインターンシップの学生に即戦力として事業に貢献してほしいとは考えていないので、スキルがない人も参加に支障はありません。
むしろ重要なのは、インターンシップの期間中に多くを学ぼうとする姿勢です。知識やスキルがないからこそ、素直に周囲の人から仕事の仕方を吸収でき、インターンシップ期間中の成長が期待できます。意欲的な学生ほど企業にとっては魅力があるので、現時点での知識やスキルは気にせず応募しましょう。
まとめ
インターンシップの参加は、1年生でも早すぎることはありませんし、4年生でも遅すぎることはありません。卒業後の将来を見据えて早くから備えることも、学業を優先しながら余裕が出てから参加するのも、どちらもメリットがあります。
インターンシップ参加のベストなタイミングは人によって違います。周囲の参加状況を見て、焦ることなく学業や部活動と両立しやすい時期を見極めましょう。